2005年「とぅんじーあしび」を終えて
高等部1年 坂本 楽
僕はその前の「まにまに」を終えてから正直「とうんじー」をやるのが恐くなっていた。「まにまに」の出来が明らかに一昨年とは違った。同じように一昨年と全然違う「とうんじー」を客に見せるのがすごく嫌だった。毎年凄い迫力のある行事だったからさらにプレッシャーが大きかった。でもそうこうしているうちに気付くと既に「とうんじー」の準備は始まっていた。
準備は一昨年より1週間遅れで始まった。いきなり準備が一昨年より一週間も遅れている事にきづき一斉に皆が動き始めた。準備する事はいっぱいあった。毎年一番準備に時間がかかるのは会場だった。中でも三方の壁全部を絵で覆うのは大量のダンボールが必要だった。ダンボールを集めにありとあらゆるスーパーやデパートを回った。そしてその度にダンボールのいっぱい詰まったワゴン車が珊瑚舎に到着した。そのダンボールをひたすらテープでつなぎ合わせ絵を描く。するとピカソのゲルニカ並みにでかい絵になる(素人でもそれだけでかいと迫力がある)。それを三枚。準備期間中のほとんどがそれだった。そのあいまに各学年の出し物を準備するような感じだった。高2なんかは夜中まで学年の準備をする程時間もなかった。とにかくばたばたしながらも何とかリハーサルまで無事終了。
当日、最後のリハーサルを終えそれぞれが適当に時間を潰していた。みんな本番が近づくにつれてだんだんそわそわし始めて意味もなく本を開いたり洗い終えた皿を何度も洗ったりしていた。
ついにオープニング開始。おさのリコーダーが流れて少しずつ倉庫から入場。スポットライトがつく、曲が流れる、踊る。今年は「銀河鉄道の夜」を下敷きにオープニングやエンディングを考えたが、観てる方からしたらチョット意味がわからなかったかもしれないけどとりあえずリハーサルどおりに終了。それから学年の出し物は全部大成功だった。全ての出し物が本当に面白くて3時間半飽きる事がなかった。エンディングは降るはずの紙で作った雪が降らなかったことを除けばほぼ完璧に出来ていた。
最後は毎年恒例のカチャーシーを踊った。みんな恥ずかしがってキャンプの時カチャ-シーは全然盛り上がらなかったのにその日のカチャ-シーは凄かった。みんなピョンピョン飛び跳ねぶつかり合って狂ったように踊っていた。今までで一番最高の「とうんじーあしび」だった。サンシンの音が止まって踊り終わった後もみんなすごくいい笑顔をしていた。
この行事を終えて、また少し珊瑚舎の難しい所を理解出来た気がする。僕にとってすごく大きな行事だった。
山がんまり 中等部 朝倉祐基
(がんまりとはウチナー口で遊びやいたずらを意味します。佐敷の山を開墾し遊び場や陶芸用の作業小屋を作る予定です。毎週金曜日は畑と共に山にでかけ汗を流しています。)
俺は一番最初に"がんまり"に行った時、暑くて蚊がいっぱいいて服が土まみれになって嫌だなぁ早く帰ってシャワーをあびたいなぁと思った。
たぶん、長い間自然にふれていない多くの人がそう思うだろう。でも、だんだん日を重ねていくごとに森にも虫にもなれてきて、街の水や空気よりも森の水や木や空気のほうが普通のものというか、自然なもの、人が昔から一緒に生きてきたものだという気がしてきた。
そして小学生のころ、時間も忘れて山や森に友達と行って冒険とか秘密基地を作ったりしていた事、なんでもない石っころをまるで宝石のように大切にしていた事を思い出させてくれた。
俺は世界中のきれいな海や山を、この目で見てみたいという気になった。今の日本や世界には"がんまりの森"のようなところはたくさんあるだろう。でも、このまま人間が木を次々に切っていったら無くなるのはあたりまえのことだ。だから動物や植物や人間が生き残るためには、自然を減らさずにどうやって共存していくのかという事をみんなが考えていかなければならないと思う。
今森の中で、沖縄の風を感じて初めてそんな事を考えた。それは自然にふれないかぎり感じることは無かっただろう。
学校の役割 その40
珊瑚舎スコーレが開校して丸5年が経ちます。4月から6年目に入ります。ご支援頂いた方々に心から感謝しております。今後ともどうぞ、よろしくお願い致します。
5周年を記念してミュージカルを上演することになりました。脚本らしきものを僕が書きました。それをもとにみんなで削ったり足したりしながら、稽古をしている最中です。
とは言ったものの、そうこうしている内に先日、生徒たちが大幅に脚本を書き換えました。「イマイチ乗らない」とのたまいます。ぼくは「乗らない」のではなく、そのあまりに深く、高い芸術性に「乗れない」、つまり「乗る術を知らないということだ!もっと学べ!」と息巻いてみたくもなりましたが、初年度にパレット久茂地前の広場で(ミュージカル)を上演した時の脚本も、その芸術性の高さゆえに、生徒たちは「乗ることができず」、大幅に書き換えられた前科があります。もしかすると「誰も乗れない!」という酷寒の孤高を保つ宿命を背負っているのかも知れません。
いずれにしても、今回もまた、ぼくの姿は儚くも美しいその足跡だけを残して脚本の中からどこかに消え去ってゆきました。(「ホッシー(僕ことです)、カンバァーック!……イヤ、気のせいでした。」)それで、その痕跡らしきものをここには残してもいいのではないかと思い、彷徨いつつも書かせて頂いている次第です。なお、ミュージカルの詳細は同封のリーフレットをごらんください。
1年目のまれ人講座のまれ人に詩人の谷川俊太郎さんをお招きしました。海のものとも山のものともつかない、しかもヒンスー(貧乏)の珊瑚舎の要請を快くお引受けいただき、大変ありがたかったです。その上、言葉のお土産まで頂きました。
「まれ人講座」では、会場にいる80名余りの人すべてが参加して、変則の8句構成の連句(四連歌<しれんが>と言っていますが、これからは八連句<ぱーれんく>と呼ぼうと僕だけが言っています)を巻きました。発句は谷川さんに詠んでいただきました。
「種子はこぶ風はまれ人土はきみ」 俊水
この句を珊瑚舎に置いていって下さったことに本当に感謝しています。ミュージカルの脚本はこの発句をもとに書きました。そして、生徒の思いや講師の方々のアドバイスがティーアンダーとなって、身内が言うのも憚れるのですが、大変いいものに仕上がっています。ティーアンダーは手油のことで、美味い料理は「ティーアンダーが入っているさ」と沖縄では言われます。
珊瑚舎の「学校をつくろう!」は、生徒や講師、保護者、興味や関心をもってくださる方それぞれが、種であったり、風であったり、あるいは土であったりするような自在な関係性から生れる学びを育むことです。とりわけ、授業がそういう場として作られなくてはならないと思います。この発句は珊瑚舎が求める場のありようを爽やかな春風とともに語りかけてきます。
参加者が二の句、三の句と作り、谷川さんに選句して頂きました。揚句は「がじゅまるのひげ気根のびろよのびろ」でした。谷川さんは「揚句は沖縄の土地らしいものを選びました」とコメントしました。谷川さんの言う「土地」とは「風土」のことだと思います。「風」と「土」です。珊瑚舎は沖縄の風土とそこに暮らしてきた方々の力を借りて場をつくっています。珊瑚舎のロゴの樹影は、そのがじゅまるの樹です。
珊瑚舎で過ごす時間の入り口は八連句で例えれば「種子はこぶ風はまれ人土はきみ」です。出口は「がじゅまるの気根<ひげ>のびろよのびろ」です。豊かな場をつくることの喜びと願いです。2句目から7句目を作る過程から珊瑚舎は生れます。(ほ)
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