「卒業を祝う会」より
◎3月14日に行われた「卒業を祝う会」で星野から卒業生におくられた言葉と、卒業生から珊瑚舎スコーレへおくられた言葉を紹介します。
「岩間幾何さんが
珊瑚舎スコーレ高等部を 今日
卒業することを
みなさんと認め合うための辞」
珊瑚舎に来た日、あなたは沖縄でゲンチャリの免許を取ること、将来、美容師になること、それが目標ですと、僕に話してくれました。そうして、3年が経ちました。今、僕の目の前に立っているあなたは「岩間幾何になることが、私の目標です」と言っているように感じます。
あなたは入学間もない頃、こういう書き出しで文章を書いたことがあります。
「ぶんたんは堂々としている」
この一行を書いた時から、あなたの珊瑚舎での時間が動きはじめたと思っています。誠実に自分に向かい合おうとするものだけが書ける一行です。
学びましょう。愛するために学びましょう。
珊瑚舎スコーレへ 岩間 幾何
珊瑚舎スコーレでの3年間。それは、色々な発見の連続でした。スコーレという場は、一人一人の想いが強く伝わってきます。少人数なだけに、ごまかしのきかない辛さがありました。私は、スコーレに来て、人は年齢に関係なく想い悩んでいることを初めて知りました。深く人間関係を築く中で、人と衝突する中で解ったことです。人は人であるだけ想うことがある。いろいろな想いが混じり合う中、皆で何かを作り上げてゆくことは難しい。でも、一人でできないものがあります。私は一人の想いを知るたび考えさせられます。だから、なあなあにできない。人に出逢うたび、人の生き方を見るたび、何か思うことがあります。私は他人を見て自分を見た。発見はいつも外からやってくるのです。私は、色々なものを気づかせてくれた人達に感謝したいです。
三年間 ありがとう
「手塚木咲さんが
珊瑚舎スコーレ高等部を 今日
卒業することを
みなさんと認め合うための辞」
あなたが、珊瑚舎の時を刻む時計の針を動かしはじめました。大きな封筒に入って送られて来た第一号の入学願書を手にしたときのことを僕は忘れません。以来、あなたのような心持ちの人が珊瑚舎で学ぶことを選んでくれたことを心から感謝しています。
あなたには勇気の萌芽があります。優しさに裏打ちされた勇気です。もしかすると人間が最も手に入れにくいものかも知れません。しかし人間を最も輝きに満ちたものにしてくれるものだとも思います。
学びましょう。愛するために学びましょう。
珊瑚舎スコーレの皆様へ 手塚 木咲
私は珊瑚舎スコーレにありがとうを言います。私の通り過ぎた三年の間、同じように通り過ぎていった人々や、今まだここにいる皆に。ここを通った一人一人が、私の内側につもってゆき、ここで交わした一言一言が私のカタチを成してゆきました。場をつくるということは難しいことではない。ただ場は一人一人がどう在るかによって変化しうるということ。自分を一人の人格をもつ人間として認識し、これから私が私で在るために自分自身が大切に思うことを大事に大事にもつことだと思いました。自分を大切に。その過程で自分が疑問を感じる場合、正直に反応してゆくことが大切なのだと教えられたように思います。自分を目に見えるかたちで表すことは、私にとってとても苦しいものでありました。今まで見てみぬふりをして、それですんでいた自分の本質に向かい合うものだから。ここ、珊瑚舎ではひたすら自己を洗いさらしていたような気がします。この場所以外では感じることのできない三年間を、これから何処へ行こうと自分なりの解釈で受け止めてゆきたいです。
ありがとう。
「廣田伸子さんが
珊瑚舎スコーレ高等部を 今日
卒業することを
みなさんと認め合うための辞」
中学校を卒業するとき、あなたは学校で学ぶべきものはないと思ったそうです。そうして、二年間の貴重な出会いと経験のあと、再び学校で学ぶことを選びました。しかも珊瑚舎でです。
僕はあなたの学ぶ意欲に応えたいと思いました。あなたは、すぐに答えのでてしまうようなことに興味をもっているとは思いません。あなたが求めているものは誰かが作ってくれているような場ではなく、自分で創らなければならないものなのかも知れません。そういうあなたを支えてくれるのは、あなた自身の中にある自分の興味と好奇心に対する誠実さです。それがあなたをこんなに美しくしています。
学びましょう。愛するために学びましょう。
珊瑚舎スコーレへ 広田 伸子
ここは自分にとってよく分からない場所だった。なんで私はここにいてみんなと一緒に過ごしているのだろう?と疑問に思うこともあった。きっと自分はどこかで珊瑚舎に馴染めていないような気がしていたからだと思う。だけどある時自分の感じる違和感は私自身がつくりだしているものだと気づいた。たとえ自分と人との接点が見つけられなくても、自分と他人の時計の速さが違っても、一緒に共有できる"何か"が生れる瞬間がある。その時ぱっと目も覚めるような花が開く。私はそういう瞬間を珊瑚舎で経験するうちにいつからか自分の持つ違和感を忘れていった。共有できる"何か"をみんなと一緒につくっていくことは難しい。周りに向けられるアンテナを自分が持っていなくてはいけない。ふっとアンテナを忘れ、周りを気にせず一人の時間に閉じこもることもできる。でもそれでは違ったものは見えてこない。珊瑚舎に来る人達にはみんなと一緒につくる瞬間を大切にしていってほしい。そこからでしか学べないことが山ほどあると思う。だからみんなには周りに向けるアンテナを忘れないでいてほしい。三年間いろいろお世話になりました。
「真津研太君が
珊瑚舎スコーレ専門部を 今日
卒業することを
みなさんと認め合うための辞」
二年前、専門部の入学者が君一人になるかも知れないと思い、僕は君に電話をしました。君は「一人でやります」とまっすぐに答えました。そのことばのとおり君は珊瑚舎を自分の場にしようとつとめていました。ある変容が君の中に生まれ、君は新しい自分をつかみかけていると思っています。
形のあるものを自分の手の中でつくることは人間にとって大切な営みです。その糸口を君が珊瑚舎でみつけたことは僕にとっても喜びです。君の手の中で生れる形と色と、そして重さは、君の過去と未来をうつすものになるはずです。
学びましょう。愛するために学びましょう。
珊瑚舎スコーレへ 真津 研太
二年間という長いようで短かった時を珊瑚舎スコーレで過ごして、今僕に言えることは、ここが楽しくて、素晴らしい場所で僕はここが好きだと言う事。皆が好きだという事。皆に会えて本当に良かったという事。楽しい事、辛い事、嬉しい事、悲しい事。やばいくらい緊張した事。ずっと屋久島で過ごしてきた僕にとって初めて島以外の場所での今まで会ったことのないような人達との経験。大切な宝物になりました。ここで夢を見つけ、ここで島を知って、少しだけでもここで大きくなれた。変った気がする。「ありがとうございました。」二年間の気持ちはこの言葉に尽きます。こんなに貴重で素晴らしい時を共有できた皆との関係を、絶対これで終りにしたくはないから、これからもこんな真津研太をどうぞよろしくお願いします。
なお、2004年度の修了生は専門部・羽鳥則子さん、井口万紀雄さん、乾ほみ江さん、鈴木隼さん、森口明子さん、高等部・岩瀬綾香さんの6名です。
◎「卒業を祝う会」に参加したご父母の方から後日届いた文章を紹介します。
星野さま
沖縄から帰って一週間が過ぎた頃ようやくいつもの自分に戻った気がします。卒業式の翌日の15日朝から、何だかボケていて、ヘンなこと言ったりして、頭がどうかなっちゃったみたいでした。沖縄へ行くと、なかなかギアが切り替わらないのですが、そういうのともちょっと違う。帰って3日目、あっ、私感動してたんだと気づきました。
14日の夜、がじゅまるハウスに戻り、ふとんに入ってから、突然頭の中に詩(?)が湧いてきました。まどみちおの「つけもののおもし」風に、それもラップ調でうたってるのです。
スコーレの卒業式 これはなんだ?
まじめなようで あそんでるようで
とまどってるようで よろこんでるようで
はりあってるようで なかよしのようで
発表会のようで パーテイのようで
こどものようで おとなのようで
みんなはじけてるさあ
みんなつながってるさあ
おじいはないてるさあ
おばあもわらってるさあ
なんだかわからんけど
愛があふれてるさあ
スコーレの卒業式 これはなんだ?
よくは憶えていませんが、こういうようなことを勝手にうたっていました。ところが、こちらに帰ってからも、仕事をしながらも、頭の中から消えていかないので、しょうがない、ホッシーに書いて送ろうと決めたら勝手にうたうのをやめてくれました。つまり、こんなふうに感動してるんだよということを自分に認めてほしかったんだなあとわかりました。
そして一日くらいたった頃、ふっと一つのフレーズが浮かびました。"関心を持つ"です。普通の学校の先生が生徒に持つ関心とは全く別のもの。たとえば、星野さんが"卒業を認め合う辞"を子どもたちに手渡されたときにおっしゃった言葉「学びましょう。愛するために学びましょう」ということかもしれない。
子どもたちひとり、ひとりの存在をそのままに受け入れ、あなたたちには大切な宝があるんだよ、一緒に見つけて磨いていこうよ、というような関心の眼差しを向けられたなら、子どもたちはその命を輝かさずにはいられない。スコーレの子どもたちはみんな命が輝いている。先生やスタッフの方たちみんなと一緒に輝いてるって感じました。その訳のひとつが、先に書いたようなことなのかなと思いました。
星野さんが、卒業式を迎えた4人の若者たちへ、繰り返し感謝の言葉を述べていらっしゃいました。そのたび毎に、私の胸の中にその溢れる想いが降り積もっていきました。そして、私の胸もはちきれそうに、熱いものでいっぱいになりました。
何を書いていいのかわからないくらい感動したみたいです。スコーレの卒業式に出会えて感謝します。もちろん娘にも。あっこがスコーレに行かなければ、出会えなかった感動です。
森口美千江
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