自画像 作品集
>学校をつくろう!

●●●朗読ライブ 作品集●●●

「MANABAN 朗読ライブ」で朗読された
ロードキストの自作の文章を紹介しています。


2011年4月30日「朗読ライブVOL.7」として行われた「第1回 自作を朗読む 『自画像を朗読む』」から紹介します。

  ★「わたしの自画像」                         我喜屋隆子

人生は選択の連続です。

・朝食は、パンにしようかごはんにしようか。
・玄関先。ハイヒールにしようかぺったんこ靴にしようか。
・体温が37.8度。仕事に行こうか休もうか。
・眠れない夜。深夜2時のテレビショッピング。
 長期冷凍保存OK。とろろ60パック。8000円。
 0120… その続き…押そうか止めようか。
・黄色信号。進もうか止まろうか。
・一杯目の生ビールを飲み干した。
 2杯目。
 同じく生ビールにしようか島酒にしようか。
・次の給料日まで残り1週間。貯金なし。財布の中には5000円。
 以前から欲しかった1万2000円のワンピース。セールで3000円!
 残り一着。どうする私。
・苦手な上司に同伴して、営業先への大事な交渉。
 上司のズボンのチャックが全開。言う?言わない?ん?。
・誕生日の夜。彼氏から約束をほったらかされた。
 そこへ前からアタックされていた男性からの電話。
 「飲みに行こう!」行こうかやめようか。
・眠れない夜。深夜3時のテレビショッピング。
 スチームモップ1万9800円。0120…その続き…押そうか止めようか。
・高校受験。
 第一希望の試験当日。
 誰もいない砂ぼこり舞う校庭を横切り、  イスと机がずらっとならんだ体育館は  とにかく寒かった。
 第2希望の試験日。花と緑でいっぱいの門をくるぐると  野球部のかっこいい先輩たちの明るく大きな声の挨拶があった。
 数日後、2つの高校を合格した。
 3年間目指した第一希望の高校か、すべり止めでうけた第二希望の高校か  どちらに進学しようか。
・眠れない夜。深夜2時半のテレビショッピング。
 美容ローラー2万1000円。
・体育館裏。親友から頼まれ、告白の相手が来るまでの時間を一緒に待った。
 「緊張するぅ?」という彼女の鼻の穴から3本、4本の鼻毛の束が出ていた。
 言う言わない。ん?。(それは言った!)
・眠れない夜。深夜3時30分。
 なんかわからないけどバラの成分が入ったサプリメント。6000円。
・眠れない夜。そのまま寝ようかテレビをつけようか。

人生は選択の連続です。

私が覚えている幼い頃の究極の選択。
夢の中…
母親と妹が、怪獣に襲われようとしている。
ウルトラマンである私は、変身して今すぐにでも助けたいと思った。
でも、人間の前で変身をすると、もう借りの人間の姿に戻ることはできず、
ウルトラの星へ帰らなければならない。厳しい掟がある。
変身しようかどうしようか。
あっ!危ない!
「かあちゃん!ちさと!ごめん、うちウルトラマンだったてばーーー」
そう叫びながら変身し、怪獣を倒した。
そして、手のひらに母親と妹を手のせて、うなずいた。
2人を地面の上にもどして、「シュワッチ」と宇宙に消えた。
夢から覚めた幼い私は、枕を涙で濡らし、大声で泣いた。
何事かと両親が、かけつけ 「どうしたの?怖い夢でもみたの?どんな夢だったの?」 と聞いてきた。
言いたかった。とっても言いたかった。でも言えなかった。
なぜなら、言ってしまったら 私がウルトラマンだとバレて、 2人と別れなくてはいけなくなるから。

いつか、愛する人の前で変身する。そんな日が来る。
そう私は、覚悟をしていた。

あれから30年以上過ぎ、 私の人生、色々な選択があった。
小さな選択、時には人生を左右するような大きな選択。
たくさんの中から選ぶ選択。2つのうちどれか1つを選ぶ選択。
買う選択。捨てる選択。
進む選択。引返す選択。
続ける選択。止める選択。

これから先もそんな選択の連続です。

私の選択は正しかったのか?
そんなこと誰にもわからない。

でも、こうして皆さんの前に私がいる。
ここまでの選択の結果、こうして私がいる。
自信を持とう。
心が揺れて、どうしたらいいか迷うことだってある。

そんな時。
幼い頃のあの夢を思いだそう。
4、5歳の子供が、親と離れ離れになること覚悟して、 ウルトラマンに変身した。

あの選択以上の辛い選択が、人生にあるものか。

私は自分を信じこれからも人生を歩み続ける。
選択の結果かどうであれ、私が決めたこと。
人生を味わい 最後の時に「あ?楽しかったなぁ。」と思いたい。


  ★「1月13日、手紙が届く」                    春日朋徳

   学校から帰宅して、僕はいつもの様に自宅マンションのポストを開けた。一枚、葉書の様なモノが入っていた・・ドラッグ・ストアかなにかのダイレクト・メールだろうと思った、エレベーターまで歩く。なんの葉書なのか確認すると、それはエアメールだった・・・

 『一体誰からだろう?』

 僕はエレベーターに乗り込むと、その文章を読んだ。最初に眼に飛び込んで来た文章は
 happy birth day
 そして続く文章、元気でしょうか?=B僕は、誰が送った葉書なのか本当に分からなかった・・・今思うと、僕がどれだけ勘の鈍いヤツなのか、苦笑してしまう。

 それは、彼女からの手紙だった・・・僕の誕生日を祝う、異国からのバースディ・カードだった・・彼女はベトナムに留学していて、現在は日本に帰国している。もう3年、僕は彼女に会っていない・・・葉書を読み進めると、僕はエレベーターの中で、泣いてしまった。壁に寄りかかって、僕は泣いてしまった。彼女の文章は、あまりに優し過ぎて心が耐えられなかったのだ。正直に云うと、僕はこの世で1番、彼女に憧れていてそしてこの世で1番、妬ましい存在だった。僕から見た彼女は、芯が強く気も強く・・しかし、1歩引いて物事を見るヒトだった。気立てがよく、聡明で素直じゃないけれど、とても・・とても素敵な女性だった。器用な性格なのか、不器用なのか彼女は口が悪いけれどとても優しく、それでいて涙脆い。たまに眼や表情で、ニヤついているのが分かったりする・・そんなヒトだった。

 人望があり、頼られていて大事な友達の為に、すごく悩んでなんでも独りで抱え込んでしまうヒトだった。そんな彼女を、僕は酷く疵付けてしまった過去がある。もう何年も前の話だけれど、僕と彼女の間に起こった数々の出来事は、きっと彼女のこころをグチャグチャにひき裂いてしまっただろう・・・バースディ・カードの最後には、たのしい1年であります様に、願いを込めて・・誕生日おめでとう。いつか、直接、言える日まであと少し時間が掛かるかも知れない・・・ゴメンね≠ニ書かれていた。

 僕は、故に思う。彼女の優しさや、その愛情に照らされると魂の裏側に潜む闇に気づかされて、僕は・・・なんてちっぽけな人間なのだろう、なんて・・無力でヒトを疵付けてばかりの存在なのだろう・・そう、自分を責めてしまう。けれどその許しの愛は、光は・・なんて容易く、僕の憎悪や絶望や哀しみ、仄暗い怒りの影達を見せつけた痕に、その影の凡てをさも当たり前の様に奪い去ってしまったんだろう。

 その奪われた、かつて影だった場所、僕のこころの一部には今陽だまりが暮らしている・・・それはそれは、とても果敢無く切ない想いだけが凛々と、その場所を照らしている。

 彼女、僕の妹から届いた、1/7消印のベトナムからのバースディ・カード=Bその宛先の、僕の名前にはMR.≠ェ付けられていた。


   ★自画像                         島袋愛子

 私には昔からちょっと嫌いな人がいます。
 その人は女性で、外見はまぁ、一般的にいえばフツー?欲を言えばちょっと可愛いかな?
 彼女の最近はまっていることは、花や蝶々の絵を描いてみたり、折り紙を折ってみたり。
 性格は、明るくて、お喋りで、おっちょこちょいで、犬みたいに愛嬌がある彼女。
 そんな彼女の本当の姿を私は知っている。人見知りで、だけどさびしがりやで、自分に自信がない彼女。
 いつも悩みが多く、よく考えています。何をするときも考えています。朝めざめた時。テレビを見てる時。夜、暗い部屋、1人でふとんの中に入っている時。何をしている時でも考えてます。
 そんな彼女の1番の得意な事が人を好きになる事。1人の男性を好きになったら、何があっても、自分自身が愛されてなくても相手につくして、つくして、つくしすぎる彼女。
 最初は、つくして少し考える。そして、ふと気付きます。
 「ダメな女だなぁ」と。
 でも、また尽くしてしまう。そしてまた考える。

 「あなたはいつになったら気づくの?」

 そして、今度は今までで1番精一杯つくします。
 「最後に傷つくのはあなたよ?」と彼女は問いかけます。
 そして、最後に気付くのです。
 「また、やっちゃった…もう終わりにしよう…」そう自分に言い聞かせる彼女。
 けれど、何か物足りない。今のところ平凡で>安全な道を歩いている。
 寂しい。×3 とてもさびしい。
 そう考えていても、きっと、また、誰かを好きになってしまう彼女。
 そんな彼女は今、今度はどんな道が待っているか分からないけれど、一歩づつ前向きになろう!と考えています。
 そんな彼女を私は、最近ちょっとだけ好きになりました。


   ★逆子のうめき                         城間康之

 ほんの日常だ
 それはほんの日常においてさえ起こりうるじごくなのだ
 僕は鬱病なのでしょうか
 それとも重度な精神病患者でしょうか
 たとえば昼食のとき、車を運転するとき、なんだっていいんです
 ほんの日常において
 僕の中の魂、その奥の奥から測りようない痛みが沸き上がります。
 その痛みを書き残そうとする今でさえ、この感情が襲ってきます
 目の前を稲妻が走りました、霧も出てきました
 生命が闇夜に向かって歩き出せと言っています。
 引き留めても無理な話です
 僕の魂はそれを望むからです
 愚かな結末を迎えることを、どうしても望んでしまうのです
 イケナイ、イケナイ、と思いながらも
 僕は自分の魂と頭から自由になれません。
 祈りの言葉も功力はなく、
 燭光の一閃見えるはずなく、
 生命を舞台とする劇場には、こんな悲劇が上演されます。

   天空を見てごらん、ほらほらやって来た
 黒雲が両手をぶらんと垂らして
 僕の中の悲観主義が天空から降りてくるよ
 母性が優しく手で撫でる
 かわいそうね、かわいそうねと
 僕の中の母性が僕の中の子宮を慰める
 悲劇の中で健気に生きる人物と自らを評し
 数億粒の涙の代償で自らを美化し、自慰すれば
 心地よい陣痛に僕が酔い眠りかける
 そのとき僕の魂は、逆子として誕生する。
 僕の魂の化身、逆子はうめくのです
 極めて毒々しく、憎々しく、そしてナルシズムなうめきです
 それは「おぎゃあ」でなく、微かなうめきであり
 聴きたくないのに、心捕らわれる何とも不思議な泣き声。
 僕の魂はもう一方で、この逆子を殺しにかかります
 逆子も死を渇望します。でも死ねないのです
 逆子は死を望むのに、死ねない心地よさでうめいています
 殺しにかかる魂も、そのうめきに涙を流すのです。

 だれがこんな赤子を愛し、あやしますか
 だれがこんな赤子にミルクを与えますか
 早く殺してください、この逆子を
 あまり大きく成長すると僕がダメになるのです。
 陽が差してきました、もう時間です、僕は仕事に出なければ
 今も沢山血を流しました、生まれる言葉に血を伴いました
 精神が披露しました、そして逆子も生まれました。
 それは日常である
 こんな普通の生活の場面でも、僕の魂は葛藤し地獄を見る。



     ★自画像                         藤井 啓

人の眼を見ます。

一体どれ程の色を持っているのでしょうか。
小指の先くらいの小さな円の中に。

人の眼に映る微かな自分を見たとき、

  走らずにはいられない、
  逃げずにはいられない、
  黙らずにはいられない、
  傷つけずにはいられない、
  見続けずにはいられない。
  自分の眼を想わずにはいられない。

色がどれほど存在を主張しようと、
自分には一本の色鉛筆しか持つことができない。
一本の筆しか。

  選ぶ時間をください。
  迷う時間をください。
  捉える時間をください。
  対話する時間をください。

一本のはっきりとした曲線を引くなんてできそうにないのです。

あらゆる輪郭はぼんやりしているとしか思えない。
隔てつつ、溶け合いたい矛盾があるようにしか。

一本ずつの色鉛筆で近づきたい。
近づくことで、その近くにいる自分をみたい。
そして自分がいることで何かに確かに近づきたい。

静かな円の中に蠢く色たち。

人の眼は奇麗です。